これから『デジタルトランスフォーメーション』を企業に迫る社会が到来する!
労働集約的なサービス産業において、人材確保が大きな経営テーマとなっています。特に飲食サービス分野では新規採用の難しさだけでなく、離職面の対応でも課題を抱えている企業も少なくありません。人が事業の柱であるサービス産業において人材確保が出来ないという事は、すなわち事業継続が出来ないという事ですので、非常に大きな問題となっています。それに対するソリューションとして期待されているのが、AIをはじめとする次世代テクノロジーをベースとしたデジタルトランスフォーメーションなのです。
根源的な問題:少子高齢化による生産人口の減少
では、なぜ人材が不足しているのでしょうか?
人材不足はサービス産業だけに限った問題ではありません。ご存じの通り、日本は少子高齢化が世界一進んでおり、総人口の減少にも影響を起こしています。日本経済にとって人口減少は、直接的に国内マーケットの縮小を引き起こす大きな要因です。つまり、日本の人口減少は将来の日本の衰退を意味するものなのです。
さらに少子高齢化は人口の年齢構成にも影響を与えます。直接的に日本の経済力を支える15歳以上65歳未満の人口を生産年齢人口や労働人口と呼びますが、こちらは総人口の減少よりも急速に減少しています。その為、労働力確保に政府を始め、関係省庁や有識者たちが奔走し、「一億総活躍プラン」と称して専業主婦や高齢者の労働市場への参加を促しているのです。しかし、女性や高齢者の労働市場への参加が実現したとしても、国力を維持する為には270万人程度の労働人口が不足するという試算が出ています。その為、不足分を補う施策として、周辺国からの移民の受け入れも検討しなければなりません。しかし、隣の超大国「中国」でも2015年をピークに総人口が減少トレンドに変わっており、東南アジアの移民を以ってしても全て補てんが出来ない事が予測されているのです。
そこで現在、少ない人口で今までの経済規模を維持する為に「生産性の向上」の施策へフォーカスが移ってきています。
テクノロジーによる生産性の向上
人口減少による不可避な人材不足の状況に対して、AIやロボティクスといった技術を活用した生産性向上の取り組みが日本だけでなく先進国を中心に行われています。日本では「第4次産業革命」や「Society5.0」、ドイツでは「Industry 4.0」、中国では「中国製造2025」、そしてアメリカでも「Smart America Challenge」が発表され、次世代テクノロジーを使った国の在り方や将来像、取り組み重点領域などを具体的な形で示しています。
さらに、ここ数年はAI技術の急速な技術革新により、一気に企業レベルで実証実験が行われるようになりました。おそらく来年くらいには各企業の商品・サービスの中にもどんどん入り込んでくるでしょう。そして気が付くと、AI、ロボティクスが既存のビジネスの中に組み込まれている事が一般化しているはずです。
デジタルトランスフォーメーションとは何か
AIやロボティクス技術を既存のビジネスの中で置き換えるだけでなく、それらの先端技術をベースにビジネス構造まで変革する試みが生まれてきました。そして、これら先端技術を経営戦略の中心に据えた企業も出てきており、次世代技術の積極的な導入は企業が生き抜くための必要条件とされてきています。
これら取り組みは「デジタルトランスフォーメーション」と呼ばれています。
具体的にこの新しいコンセプトの定義を見ていくと、
IDC Japan『デジタルトランスフォーメーションを「企業が第3のプラットフォーム技術を利用して、新たな製品やサービス、ビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。第3のプラットフォームとは、クラウド、ビッグデータを含むビジネスアナリティクス、ソーシャル技術、モビリティをコアとした情報基盤であり、第1のプラットフォーム=メインフレーム、第2のプラットフォーム=クライアントサーバ型システムに続くものとされています。』
ガートナー『デジタルトランスフォーメーションを「デジタルの世界と物理的な世界の境界を曖昧にすることによって、新しいビジネス・デザインを創造すること」と定義し、同社では「デジタル・ビジネス」とも呼んでいます。』
これら定義を見ても、リアルな現場で構築した既存のビジネスに対し、デジタル技術を組み合わせる事で大きくビジネス設計を変えていく取り組みだという事が分かります。ではなぜ、今、デジタル技術の活用が声高に叫ばれているのでしょうか。
テクノロジーの民主化
近年、Amazon Web ServicesやMicroSoft Azureといったクラウドサービスが大きく発展しています。
オンプレミス時代にはサーバーをいくつも購入し、セットアップするなど莫大なコストや時間がかかっていましたが、クラウドの時代ではウェブ上で洗濯するだけですぐにリソースを活用する事ができ、さらに利用した分だけ支払うスキームも選択可能です。IT業界だけでなくあらゆる企業において気軽に導入を検討できるようになったのです。
さらに昨今のトピックの中心であるAI技術についても、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureをはじめとするクラウドサービス大手はフルラインナップで機能を提供しています。いわば、最先端テクノロジーが個人でも利用出来るようになっており、非常に身近になりました。
これから企業はどのように取り組んでいくべきか
デジタルトランスフォーメーションが避けられないサービス産業にとって、一刻も早くデジタルトランスフォーメーションに取り組む事が重要です。AIやビッグデータの領域ではデータ量が競争のポイントとなりますので、いち早く始めた企業が先行者優位を築きます。その為、企業は自らの事業領域において、どの技術が適用可能かを素早く見極め、安価な方法を選んで実証実験を繰り返す事が重要です。この姿勢を続けた企業が次世代の勝ち組企業の条件となります。まずは、最新技術の動向をキャッチアップし、リスクを取って大胆なビジネス構造改革を構想して下さい。そして早期に実証実験を行い、その成果を以って恐れずに自らのビジネス変革にチャレンジして欲しいと思います。
